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髪結いの亭主(1990)

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WOWWOWオンデマンドで視聴

 

パトリス・ルコントの作品を観るのはこれで二作目

今WOWWOWでは5作品公開されているので制覇したいところ

 

あらすじは、幼い頃の経験から「髪結いの女」に憧れをもち、いつか結婚をし「髪結いの亭主」になりたいと願っている主人公が理想の髪結いの女を見つけプロポーズし結婚するも……という感じ

ジャンルとしてはラブストーリーにあたる

Wikipediaのあらすじでは結末まで記載されているのでご注意いただきたい

今回は少し内容に言及するレビューになってしまったので、こちらもご注意いただきたい

 

 

仕立て屋の恋」が悲喜劇であったとしたら、これはなんだろうか

純粋にラブストーリーと呼んでいいか迷うのは私の考えすぎだろうか

まるで主人公が見ている白昼夢のような日々がゆっくりと過ぎていき、突然訪れる暗雲によってもたらされる結末は残酷であり納得すら覚えるものでもあり

純愛というには動機が不純に感じてしまうけれど、でもたしかにお互いの心に愛があったからこそあの結末になったわけだ

主人公は幼い頃の思い出に固執しているようにも見え、ついに「髪結いの亭主」になる夢を叶えた

働くことはしない、ただ彼女の仕事をそばで見て時間を過ごす事が彼の幸せである

マチルドは自分に向けられる愛情に満足しているように見えるも、時折とても悲しそうな表情で笑う

劇中の台詞で明言されるマチルドの不安は理解できるもので、しかしながら観客目線では主人公がマチルドを「髪結い」としてではなく「ただの女」としても本当に愛していたことがわかる

彼女が太ろうが老いさらばえようが、髪結いで無くなろうとも主人公は愛し続けたのではないかと思う

その愛情がわかっているからこそ、観客はあのラストの余韻を味わうことになってしまう

ファンタジックで単調な普通のラブストーリーかと思いきや、よくできている作品だと思った

 

 

これは余談だが「アメリ」のあのシーンはこの作品のオマージュなんだな、ということに気づいたのと、主人公の童心を感じるキャラクター像はジュネの作品に通ずるものを感じた

あとはやはり、オーデコロンのカクテルは本当に意外とおいしいのだろうか、ということが酒飲みとしては少し気になる

切ないラブストーリー、またはフランス映画好きに観てほしい作品だった