忘れないうちに書く映画ブログ

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櫻井さんへ

CDショップの一角に展示された「13階は月光」のジャケットを手に取ったのが、BUCK-TICKとの出会いでした。

当時はYouTubeサブスクリプション等のサービスは無く、試聴用プレーヤーに目当てのCDがあれば聴けるという感じでしたが、そのアルバムジャケットのあまりの世界観に思わずジャケ買いをしたのです。

どんな音楽が詰まっているのか、わくわくしながら持ち帰りCDプレーヤーで再生した時の衝撃は今でも忘れません。

幼少期からゴシック・ホラーの世界にどっぷり浸かっていた自分にとって、求めていた音がそこにありました。

1曲目の「ENTER CLOWN」から18曲目の「WHO'S CLOWN?」に至るまで、無駄な音など一切なくBUCK-TICKの魅せるゴシック・ロックが徹底して表現されていました。

子供の自分にとってそれはものすごい体験で、何度も歌詞を読み返しCDが擦り切れるほど聴いていました。

こんなすごいバンドが存在したのか!と、今度は「CATALOGUE 2005」を購入しました。

2枚組のベストアルバムで初期の曲から「13階は月光」収録曲、カップリング曲まで収録されたベスト盤としては盛りだくさんな内容でした。

過去の曲も全てがかっこよく、そこからお小遣いで過去のアルバムを買いあさる日々が始まります。

当時読んでいた音楽雑誌にもBUCK-TICKは度々掲載されていましたが、全くのノーマークで「13階は月光」が発売されなければきっとBUCK-TICKを聴くことは無かったかもしれません。

制作を決めて下さった今井さんには感謝しかありません。

 

その出会いから今日に至るまで、BUCK-TICKの音楽と共に生きてきました。

家族を亡くした時、数か月前に発売されていた「天使のリボルバー」や過去の楽曲を聴いてなんとか生きていけました。

今でも本当に思い返したくもないような辛い日々でしたが、イヤホンをつければBUCK-TICKの世界に逃げる事が出来、自分にとってそれがたった一つの拠り所でした。

その後もなにかと辛い事ばかりでしたが「これを凌げばBUCK-TICKの新譜やコンサートが待っているから!」という一つの希望が、陰鬱な日々を少しだけ楽しく良いものにしてくれていたと思います。

2017年に聴覚と脳の体調不良でコンサートに行けなくなり、2018年3月14日に発売された「No.0」を聴いた時に病状が悪くなった時は「大好きなBUCK-TICKの音楽が聴けない」という事実に打ちのめされました。

病状が落ち着いた今聴くととても素晴らしいアルバムで、ツアーに行けなかった事が本当に悔やまれます。

コンサートに行けない時期が続き、体調的にそろそろ行けるかも?と思った矢先のコロナ渦。

そんな中でもファンやスタッフの事を考え、生配信ライブやフィルムコンサートを精力的に行ってくれていました。

その後今井さんの骨折により2021年のツアーが中止になり、私が再び生のBUCK-TICKを観られたのは2022年8月26日の「FISH TANK×LOVE&MEDIA PORTABLE  ONLY LIVE」でした。

2016年以来に観たBUCK-TICKは変わらないかっこよさで、今までの空白を埋めるように「もっとBUCK-TICKのライブが観たい!」と9月23日・24日に行われる横浜アリーナ公演への遠征を決めました。

ライブやコンサートの為に遠征をしたのはそれが初めてで、知らない土地の大きな会場で観るBUCK-TICKは感慨深く不思議な気持ちでした。

その後すぐにベストアルバムツアーがあり、地元公演へ母と一緒に行きました。

母は天使のリボルバーツアー以来の参加だったのですが、踊って楽しんでくれていて一緒に行けてよかったと思います。

その日は初めて「グッズを買う為だけに」4時間並びました。顔の良いクッションカバーを買う為です。

遠征などもそうですが、BUCK-TICKを通して色々な新しい経験が出来た事、本当に感謝しています。

こうして今思い返すと、もっと大きい声であっちゃんやメンバーの名前を叫んだり感謝を伝えればよかった、ユータさんのファンサを素直に受けておしりを触らせてもらえばよかった等々後悔することはありますが、それも自分だけの思い出として大切に覚えておきたいと思います。

 

最期の日も私は遠征していました。

なんだか気持ちが乗らず、出発前から荷造りしたくなかったり19日の朝も寝坊したりぐずくずでした。

開場ギリギリに現地に着き、最前柵ゾーンに入りました。

開演からは圧縮が凄く、背の小さい私は埋もれてしまいあっちゃんの事はほぼ見えませんでした。

自分が転ばないよう必死でパフォーマンスの異変も中々気付きませんでした。

それでも絶界の歌声がおかしい事はわかりました。

絶界のあと、スタッフさんを呼び何か話しているのが見えました。

少しするとあっちゃんがよろけてスタッフさんに抱えられながら捌けていき、客席から心配の声が上がりました。

その後ろ姿が私の見た最期のあっちゃんでした。

公演日だから体調不良があっても我慢してしまったのか、そう思うとあの場に居合わせたファンとして罪の意識を感じます。

ファンの事を一番に考え、コンサートを大事にしてくれていたから無理をしてでも舞台に立ってくれたのでしょうか。

後から何を言っても仕様の無い事ではありますが、今ツアーを全公演中止にしてでも、なんならBUCK-TICKとして何年も活動出来なくなったとしても生きていてほしかったです。

生きていればどうとでもなります。

でも死んでしまったら終わりだから、生きていてほしかったです。

前乗りした18日から移動中、iPhoneのシャッフル再生でBUCK-TICKを聴いていると何度も「夢路」が流れました。

これまでこんなに同じ曲が流れる事なんて一度もなかったのに、遠征から帰るまで4回も流れました。

この出来事も思い出として大切にしまっておこうと思います。

 

私はただの一介のファンなのですが、家族を亡くした時と同じく深い喪失感があり正直なところ戸惑っています。

発表から2日経ちましたが、勝手に涙が出て止まらないし写真も見れないし音楽も聴けないし映像なんて以ての外です。

悲しみに酔っているわけではなく、己の為にやらなくてはならない事もあるのですが気持ちが追いつきません。

もう少し経てば自分の中で折り合いをつけて生活を送れるようになるのかな、と思うので今は身を任せようと思います。

 

はっきりと言葉にするのはとても辛いのですが、ここに櫻井さんのご冥福をお祈り申し上げます。

色々とお辛く大変な人生だったと思います。昨年のラジオで未だに悪夢を見ること、お酒が手放せないことを聴き心配していました。

35周年のハードスケジュールも本当に大変だったかと思います。

これからは辛い思いをせず、安らかにお過ごしください。

4人のメンバーの事も見守ってください。よろしくお願いいたします。

あっちゃんがいなかったら私は今生きていなかったかもしれません。

唯一無二の歌声と表現力、すてきな歌詞やパフォーマンスを魅せて下さり、救って下さり本当にありがとうございました。

 

 

気持ちが落ち着いたらまた毎日BUCK-TICKを聴きながら生きていこうと思います。

BUCK-TICK以上にかっこいいバンドを知らないので、そこはぶれません。

配信での布教活動も続けたいと思います。よろしくお願いします